米海軍厚木基地:艦載機などの騒音苦情、342件 前月の1.5倍--2月 /神奈川

米海軍厚木基地(綾瀬市、大和市)の艦載機などによる騒音被害の苦情が2月、342件に達し、1月から122件増え約1・5倍になっていたことが9日、県などのまとめで分かった。最も多かったのは大和市で、相模原、綾瀬、座間各市の順だった。

 訓練飛行中に原子力空母艦載機から部品が落下し、綾瀬市の民家の窓ガラスを割った1月28日は計24件寄せられ、同月中で2番目に多かった。

 また、別の部品落下事故があった今月4日は、相模原市と大和市だけで計151件に上った。落下事故は昨年もこの時期に発生しており、基地周辺自治体や住民は、米軍の艦載機の整備体制に懸念を強めている。【長真一】

低予算作、元夫の超大作破る アカデミー賞に新たな歴史

 ジェームズ・キャメロン監督のSF大作「アバター」か、キャスリン・ビグロー監督の戦争映画「ハート・ロッカー」か。かつて夫婦だった監督の対決で注目を集めた第82回アカデミー賞は、元妻ビグロー監督の勝利で幕を下ろした。女性監督の映画が監督賞や作品賞のオスカー像を受けたのは初めて。授賞式の8日(日本時間)は、米国映画界の“ガラスの天井”が破られた歴史的な日となった。

最多9部門ノミネートで並んだ「元夫婦」の作品は、好対照だった。「アバター」は2億ドル超を投じた大ヒット作。3D映画の新時代を開き、「タイタニック」でキャメロン監督自身が築いた世界興行収入記録を更新した。

 一方、「棺おけ」を意味する米兵の俗語を題名にした「ハート・ロッカー」は製作費1100万ドルのインディペンデント映画。骨太のアクション映画で知られるビグロー監督が手持ちカメラを駆使して、最前線の兵士の葛藤(かっとう)を、生々しく描いた。

 結果は、「ハート・ロッカー」が作品、監督、脚本など6部門で受賞し、技術部門3賞の「アバター」を突き放した。大手映画会社が敬遠するイラク戦争という題材に正面から切り込んだビグロー監督らの挑戦に共感が集まった。

 監督賞のプレゼンターは、監督歴もあるバーブラ・ストライサンド。「やっとこの時代が来たわ」とつぶやき、女性初のオスカー監督の誕生を発表。ビグロー監督は「イラクやアフガニスタンで命がけの日々を送る女性、男性に賞をささげたい。無事の帰還を祈っています」とスピーチした。

 演技賞は有力候補が順当に獲得。主演女優賞は、「しあわせの隠れ場所」のサンドラ・ブロックが初受賞。「人生一度の幸運だとわかっています」と他の4候補をたたえたスピーチは、飾らぬ人柄を表していた。前日に別の主演作が最低映画賞のラジー賞に選ばれ、その授賞式にも律義に出席したという。主演男優賞は「クレイジー・ハート」のカントリー歌手役で円熟の演技と見事な歌を披露したベテランのジェフ・ブリッジスがやはり初めて受賞した。

 助演女優賞は、「プレシャス」で父親にレイプされた娘をさいなむ鬼のような母親を演じたモニーク。助演男優賞はカンヌ国際映画祭男優賞にも輝いた「イングロリアス・バスターズ」の才人俳優クリストフ・ワルツが受賞した。

 長編ドキュメンタリー賞は日本のイルカ漁を告発した「ザ・コーヴ」が受賞した。「人々を啓発する娯楽作を目指した」と製作者。国内では隠し撮りの手法などが批判されているが、米国では潜入取材の過程をスパイ映画風に見せる演出が受けた。反発も予想されるが、作品を見ずに批判をしても説得力はない。日本公開が建設的な論議の契機になるのを期待したい。(深津純子)

特急ゆけむりが投石被害か

長野電鉄の特急「1000系ゆけむり」が走行中に石をぶつけられ、ガラスにひびが入った事案が起きていたことが4日、わかった。県警が器物損壊容疑で捜査している。このほか長野市や東御市で置き石があり、列車が停止するなど、県内で鉄道の安全を脅かす事案が発生している。

 長野電鉄によると、湯田中発長野行きの「ゆけむり」に異状があったのは1日午後5時ごろ。本郷―善光寺下間を走行中、地上から地下に入る善光寺下駅の北東約300メートル付近でガラスに約30センチのひびが入った。約40人の乗客がいたが、けが人はいなかった。

 県警によると、割れたのは最後尾車両の窓ガラスで、投石を見た乗客が運転手に通報。投石のあった付近の公園で子どもが遊んでいるのを見た乗客もいるという。

 「1000系」はかつて箱根路を走っていた小田急電鉄の特急ロマンスカー。床が高く、運転席が2階にあって最前部まで乗客席になっており、眺めがよい人気車両。修理が終わるのは早くても来週後半という。

 県内では今年に入って、置き石事案が3件発生している。県警によると、昨年は置き石・置物事案が36件あった。例年4~6月に多くなる傾向があるという。置き石や投石は重大な列車事故にもつながる行為で、列車往来危険容疑は2年以上の懲役に処される場合もある。県警は「おもしろ半分の行為は絶対にやめて欲しい」としている。(杉浦幹治、小林直子、野津彩子)

ミニ保険:「すき間」ニーズに着目、快調 飛び石のガラス破損、地震後の住宅再建

通常の損害保険などに比べて保険金が少なく、補償期間も短い「少額短期保険(ミニ保険)」が売り上げを伸ばしている。06年度の制度化以降、66社が参入し、保険料収入は08年度の371億円から、09年度は400億円超となる見通し。大手の扱わないニッチ(すき間)市場への意欲的な商品投入で、人気を呼んでいるとみられる。

 ミニ保険会社は、無認可共済からの転換組が多く、火災などに備えた共済を販売してきた26社が保険料収入の7~8割を占める。

 ミニ保険大手の「全管協共済会」の10年3月期の保険料収入は、前期の64億円から10%前後増える見通し。「ミレア日本厚生少額短期保険」も10年3月期に43億円前後と、前期比3割近く伸びそうだ。「制度化による信頼性向上で安心して買ってもらえるようになった。デフレが続く中、割安な保険料も好評」(日本少額短期保険協会)という。

 無認可共済以外でも、商社や保険代理店など14社が新規参入した。「ブロードマインド少額短期保険」は、飛び石などによる自動車フロントガラスの破損が多いことに着目。一般の車両保険の1割以下の保険料で、フロントガラスの破損を補償する。今年1月に本格展開し、タクシーや運送業者を中心に数百件を販売、10年度は10万件を目指す。

 「日本震災パートナーズ」は、地震後の住宅再建のための保険を販売。通常の地震保険が再建費用の3~5割を補償するのに対し、同社は一定額(300万~900万円)を支払う。再建費用をより多く確保するため、地震保険と組み合わせて契約するケースが多い。10年3月期の保険料収入は8000万円と前期比約20%増える見込みだ。

 とはいえ、09年3月期決算を発表した62社のうち46社が最終(当期)赤字。認知度の低さや営業力の弱さから、国内市場でのシェアが0・1%(09年度、保険料収入ベース)足らずで、営業・管理経費を賄えるほどのもうけを出せていないことが響いた。ニッチで人気を集めるミニ保険だが、収益を確保するにはある程度の規模拡大も必要となりそうだ。【宇都宮裕一】

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 ■ことば

 ◇少額短期保険会社
 保険金額1000万円以下、期間2年以下の保険を扱う。根拠法のないまま普及した「無認可共済」では、保険金の支払準備金の積み立てルールが明確でないなど、加入者保護が不十分で、共済金をだまし取る詐欺事件も多発したため、06年4月の保険業法改正で導入された。通常の保険会社は10億円以上の資本金が必要だが、1000万円から開業できる。年間の保険料収入(再保険料を除く)は50億円以下に制限される。

収蔵資料の企画展 原爆資料館で

原爆で黒く泡立った瓦など、長崎原爆資料館(長崎市平野町)が収蔵する資料の企画展が2日、同館企画展示室で始まった。

 展示されるのは、昭和20年代に長崎市に寄贈された35点。原爆が投下された時刻の午前11時2分を指して止まった腕時計や熱線で溶けたガラスのほか、爆心から半径50メートルごとに採取された瓦など、原爆の被害が顕著に表れている資料を並べている。

 同館の担当者は「初めて資料館を訪れる人も多い時期で、原爆の被害を直接伝える資料を中心に選んだ」と話している。

 5月10日まで。入場料は同資料館観覧料の大人200円、高校生以下100円。問い合わせは同館(095・844・1231)へ。

(2010年3月3日 読売新聞)

トロッコ列車を指定席化

わたらせ渓谷鉄道(みどり市)は、人気のトロッコ列車について、今年の運行が始まる4月3日から座席を指定席化する。待ち時間を減らして始発の大間々駅周辺をゆっくり散策してもらい、観光振興を図るのが狙いだ。

 トロッコ列車は窓ガラスがない車両で、豊かな自然を肌で感じられるのが魅力。1998年10月から運行を開始し、毎年4月から11月まで運行している。大間々―足尾駅間を1日1往復する。

 同社によると、利用客は良い席を取るために、乗車受け付けの始まる1時間以上前から長蛇の列を作ることもあった。指定席化で、待ち時間を減らし、快適さは増す。

 ただ、予算の都合上、座席申し込みの電算化はできないため、希望の席を取るには、早い者順になるのは変わらない。それでも、利用客の負担は大幅に減る見込みだ。

 同社はこれに合わせて、沿線3市などでつくる同鉄道連絡協議会に依頼して大間々駅周辺の「散策マップ」を完成させる予定だ。近隣の飲食店の紹介やトイレの位置を記載する。

 同社の樺沢豊社長は「待ち時間を有効に活用してもらい、地域振興につながれば」と意気込んでいる。