1月27日15時1分配信 毎日新聞
◇自宅工房で教室、仲間増え膨らむ夢
芯棒にガラスを溶かし、巻き取って模様を付けるガラス玉「トンボ玉」の制作に、平川市吹上の赤平源晴(もとはる)さん(62)と加代子さん(57)夫妻が励んでいる。4年前から自宅工房でトンボ玉教室を開き、今月は弘前市で夫婦展も開催している。31日まで。2人は「工房に来る人たちといずれは仲間展を開きたい」と、愛好者の広がりに夢を膨らませている。【後藤豪】
旧平賀町(現平川市)出身の源晴さんは、大学卒業後、静岡県浜松市の自動車メーカーに入社。部品のコスト管理などの仕事をする傍ら、38歳ごろから週1回、焼き物教室に通った。「焼き物が子供のころから好きだった。何となくやりたいなというのがあった」という。湯呑み、茶碗(ちゃわん)、食器……。仕事休みを使って制作する「サンデー陶芸」は、いい息抜きになった。
その後、生産管理をする駐在員として約3年間、カナダで暮らした。そこでの新聞広告で陶芸のアトリエがあることを知った。昼間の時間が空いていた加代子さんも参加し、陶芸を初体験。「仲間づくりで始めたら面白くなって」と加代子さんは笑顔で話す。
帰国後、源晴さんはカナダで買った轆轤(ろくろ)で作品を制作。加代子さんが陶芸教室に通うという日々がしばらく続いた。98年、浜松市内の画廊に「トンボ玉教室」がオープンしたのを機に、以前から興味のあったトンボ玉にも手を伸ばした。源晴さんは地元のガラス工芸作家に師事し、会社を退職して03年に平川市に戻るまで教室に通った。
以後、夫婦で本格的にトンボ玉制作を始めた。陶芸品は短くても2週間くらいかかるが、トンボ玉は取りかかったその日に作品ができる。「細かいイメージが玉の中に封じ込められている。装飾の仕方にもいろいろなバリエーションがあり、技法の奥が深い」と源晴さんは魅力を語る。
夫が陶芸を始めてから四半世紀。今月4日から弘前市東長町の和風かふぇ「遠近(おちこち)」で初めての夫婦展を開いており、トンボ玉のアクセサリーや携帯ストラップなど約100点を展示販売している。同カフェ店長の舘山佐知子さん(50)は「『おしゃれ心を忘れちゃいけない』という女性の方が買い求めている」と話す。
源晴さんは05年から、カルチャーセンターの講座の一つとして、自宅工房でトンボ玉教室を開いている。源晴さんは「だんだんやる人が増えてきているし、作る人が増えると楽しい」と手応えを感じている。夫婦二人三脚のトンボ玉普及活動は、少しずつ実を結び始めている。