「漂着物に触らないで」 暴発、感染…夏の海 注意呼びかけ 国交省

7月26日7時56分配信 産経新聞

 各地の海岸に医療廃棄物や動物の死体、火薬類が含まれている発煙筒などの漂着物が流れ着くケースが相次いでいる。本格的な海水浴シーズンを迎え、水の事故だけでなく、漂着物に触れて感染症に感染したり、火薬類の暴発で思わぬ負傷をすることも考えられるため、国土交通省が注意を呼びかけている。

 国交省では今夏、漂着物の危険性についてまとめた子供向けハンドブックを作成。都道府県を通じて小中学校などに配布した。

 ハンドブックには、漂着物のうちガラス片や金属片など危険性が容易に判別できるもののほか、船舶で利用される発煙筒や信号弾などの火薬類、薬品入りのビンや注射器などの医療廃棄物、動物や魚類の死体などを列挙。「けがなどの恐れがあります。絶対に触らないで」と写真とともに掲載している。

 発煙筒などは触れると暴発の恐れがあるほか、医療廃棄物や動物の死体などは感染症に感染する危険性もある。ビンなどには、硫酸などの液体が入っていることもあり、こうした漂着物の危険性について分かりやすく解説されている。

 国交省によると、動物の死体のうち特に鳥類については、鳥インフルエンザの感染が疑われるほか、クラゲやエイなどは死んでいても毒性が保たれている場合があるという。

 平成18年5月には、石川県内灘町の海水浴場を散歩していた男性が海岸に落ちていた信号弾に手を触れたところ暴発し、大けがをしたケースがあった。この際には、信号弾を回収後にも再び暴発する事故があり、町の職員が手にやけどを負った。

 20年6月には、沖縄県本部町で不発弾が漂着しているのが発見され、自衛隊が出動して処理した事例もあった。

 国交省などが18年11月から1カ月間に調査しただけでも、全国の海岸に流れ着いたごみなどの漂着物は約2万6千トンに上るという。漂着物には、ハングルやアルファベット文字が書かれていることもあるというが、どこの国から流れてきたかは不明。漂着物の製造国に、けがなどの人的被害の賠償責任を求めることも、ほぼ不可能なため、事故にあった場合には泣き寝入りするしかないのが現状だ。国交省の担当者は「事故に遭わないように予防することが重要。海岸の漂着物には絶対に手を触れないようにしてほしい」と話している。

写真家・織作峰子さんが金沢で凱旋展-郷土に思い込め「雪の世界」を表現

7月2日12時2分配信 金沢経済新聞

 金沢21世紀美術館(金沢市広坂、TEL076-220-2800)で現在、「織作峰子写真展~DIMENSIONS」が開催されている。石川県小松市出身で海外でも活躍する織作さんが一昨年パリで開催した個展の凱旋展で、郷土愛を伝える作品と斬新な写真の見せ方が注目を集めている。

 同展では、織作さんが故郷で雪とともに生まれ育った幼いころの体験をヒントに、心の中にイメージする「花」を通して写真で雪の情景を表現する「自分探しの短い旅」と位置付けている。84×60センチと大きなサイズの全55作品が収められた写真集を1ページずつ開いた状態でテーブルの上に展示、各テーブルを巡る床下には白いガラス原料の粉を砂に見立てて敷き詰めた「雪の回廊」を創り出している。

 ほぼ原寸大の花の写真は、蛇腹式のカメラを使い透明板の下から光を当てじっくりと撮影されたため墨絵に近い表情を醸し出し、足元の「白い雪」に溶け込むように来場者を誘う。印画紙に筆を入れたオリジナル作品は壁面に展示する。

 織作さんが「自分探し」のキーポイントとしたのは「夢の中で見た映像が、目覚める瞬間にモノクロームの世界へ変化する感覚」という。また、「自分作り」の素材としてとして採用した「雪」については、「雪の音を聞き、そのにおいを嗅ぎながら雪のぬくもりを肌で感じて育った感覚を思い起こした」と故郷に思いを寄せる。

 作品ごとに、織作さんがイメージするタイトルと文章が添えられ、その中の一つ「集~PARTY」には「パーティは嫌い。華やかさの裏に終宴後に倍の淋しさが待っているから」と、織作さんの感性があふれる表現が作品をより際立たせている。

 開館時間は10時~18時。入場料は、一般=700円、中学生以下=無料。7月12日まで。