ミニ保険:「すき間」ニーズに着目、快調 飛び石のガラス破損、地震後の住宅再建

通常の損害保険などに比べて保険金が少なく、補償期間も短い「少額短期保険(ミニ保険)」が売り上げを伸ばしている。06年度の制度化以降、66社が参入し、保険料収入は08年度の371億円から、09年度は400億円超となる見通し。大手の扱わないニッチ(すき間)市場への意欲的な商品投入で、人気を呼んでいるとみられる。

 ミニ保険会社は、無認可共済からの転換組が多く、火災などに備えた共済を販売してきた26社が保険料収入の7~8割を占める。

 ミニ保険大手の「全管協共済会」の10年3月期の保険料収入は、前期の64億円から10%前後増える見通し。「ミレア日本厚生少額短期保険」も10年3月期に43億円前後と、前期比3割近く伸びそうだ。「制度化による信頼性向上で安心して買ってもらえるようになった。デフレが続く中、割安な保険料も好評」(日本少額短期保険協会)という。

 無認可共済以外でも、商社や保険代理店など14社が新規参入した。「ブロードマインド少額短期保険」は、飛び石などによる自動車フロントガラスの破損が多いことに着目。一般の車両保険の1割以下の保険料で、フロントガラスの破損を補償する。今年1月に本格展開し、タクシーや運送業者を中心に数百件を販売、10年度は10万件を目指す。

 「日本震災パートナーズ」は、地震後の住宅再建のための保険を販売。通常の地震保険が再建費用の3~5割を補償するのに対し、同社は一定額(300万~900万円)を支払う。再建費用をより多く確保するため、地震保険と組み合わせて契約するケースが多い。10年3月期の保険料収入は8000万円と前期比約20%増える見込みだ。

 とはいえ、09年3月期決算を発表した62社のうち46社が最終(当期)赤字。認知度の低さや営業力の弱さから、国内市場でのシェアが0・1%(09年度、保険料収入ベース)足らずで、営業・管理経費を賄えるほどのもうけを出せていないことが響いた。ニッチで人気を集めるミニ保険だが、収益を確保するにはある程度の規模拡大も必要となりそうだ。【宇都宮裕一】

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 ■ことば

 ◇少額短期保険会社
 保険金額1000万円以下、期間2年以下の保険を扱う。根拠法のないまま普及した「無認可共済」では、保険金の支払準備金の積み立てルールが明確でないなど、加入者保護が不十分で、共済金をだまし取る詐欺事件も多発したため、06年4月の保険業法改正で導入された。通常の保険会社は10億円以上の資本金が必要だが、1000万円から開業できる。年間の保険料収入(再保険料を除く)は50億円以下に制限される。

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