ひき逃げ容疑 米兵逮捕 読谷の男性死亡 

読谷村楚辺で昨年11月、同村の外間政和さん=当時(66)=が車にはねられ死亡した事件で、県警は8日、ひき逃げの道交法違反(救護義務違反、事故不申告)容疑で在沖米陸軍トリイ通信施設特殊部隊所属の2等軍曹、クライド・ガン容疑者(27)=自動車運転過失致死罪で起訴済=を逮捕した。県警は同日、ガン容疑者を事情聴取した。担当弁護士によると、ガン容疑者は「人をはねた認識はない」と容疑を否認し、「弁護士の立ち会いがなければ、事件については何も言わない」などと話しているという。

 県警の調べでは、ガン容疑者は昨年11月7日午前5時50分ごろ、普通乗用車を運転し、米軍読谷補助飛行場跡地の外周道路(村道)をトリイ通信施設方面から同村波平向けに走行中、現場付近を歩行中だった外間さんに衝突して死亡させ、警察への通報や救護をせずに逃走した疑いがある。司法解剖の結果、外間さんの死因は頸椎(けいつい)骨折だった。

 県警は、途中からガン容疑者が任意の事情聴取を拒否し全容解明の長期化が懸念される中、自宅マンションの家宅捜索などで証拠試料を収集、聞き込みなどで捜査を積み上げてきた。事件現場の状況や被害者の負傷部位、車両の破損状況、割れたフロントガラスに付着していた血痕が被害者と一致するなど客観的事実と合わせて容疑者と断定、自供が得られないままに逮捕に踏み切った。

 県警幹部は「今後は任意性を確保しながらも、日本の法律に従い適正に調べる。事件の全容解明に向けて大きな一歩だ」としている。一方、ガン容疑者の担当弁護士は今後、供述拒否権を行使するとともに、可視化と米軍法務官の立ち会いを求めていく方針だ。

 ガン容疑者は4日に自動車運転過失致死容疑で書類送検され、7日に同罪で起訴された。日米地位協定に基づき、起訴後の身柄は日本側に移されていた。

運用改善要請へ 沖縄相

 【東京】読谷村で起きた米兵容疑者によるひき逃げ事件について、前原誠司沖縄担当相は8日の閣議後会見で、悪質な事案については米側が起訴前の身柄引き渡しに「好意的配慮」を払うとの日米地位協定の運用改善で日米が合意していることを指摘し、「ひき逃げで亡くなっているのは悪質。日米同盟関係の信頼を失わないためにも、(米側に)運用改善をしっかり求めていく」と述べた。

 一方、岡田克也外相は同日の閣議後会見で「日本国内の刑事訴訟法では逮捕前に強制的に身柄は拘束できず、任意の事情聴取しかできない。警察の考えで最善の道として取られた措置だ」と述べるにとどめ、地位協定上の問題点には言及しなかった。

沖縄タイムス

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