取材で男性記者1人を公務執行妨害で逮捕

千葉県市川市で07年3月、英国人女性(当時22)の遺体が見つかった事件で、市橋達也容疑者(30)が送検される際、警察官の制止を振り切って車の前に立ちふさがるなどしたとして、TBS情報制作局の男性ディレクター(30)が12日、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。取材活動中の報道関係者が逮捕されるのは異例だ。

 発表によると、ディレクターの逮捕容疑は、12日午前11時半ごろ、警察官の制止を振り切って、市橋容疑者が乗った車の前方に立ちふさがり、運転席側のガラスを数回たたき、さらに制止しようとした警察官を振り払うなどしたというもの。ディレクターは複数の警察官にその場で取り押さえられた。

 市橋容疑者が大阪府内から移送された11日未明、行徳署前が大勢の報道陣や若者たちで騒然とした雰囲気となったことを受けて、県警はこの日機動隊を動員、報道陣の撮影位置も事前に指定し、ロープを張っていた。

 同署の大谷毅副署長は、逮捕した理由について送検時、署の前の道路の通行を制限するなど報道陣に便宜を図ったとした上で、「再三、前に出ないでくれと話していたのに制止を聞かなかった。一番最初に飛び出しており、悪質だ」と説明した。

 ディレクターは12日夜、釈放された。県警は今後、在宅で調べる。釈放後、ディレクターは「皆様にご迷惑をおかけし、申し訳ありません。何か撮れるかもしれないと思い、体が勝手に動いてしまいました」と報道陣に話した。

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 ディレクターの逮捕直後から3時間近く、行徳署は報道関係者が署内に出入りすることを原則禁止した。逮捕の発表は、署の入り口で午後2時半ごろから大谷副署長が行い、報道陣約50人が囲んだ。市橋容疑者の移送時、JR東京駅や行徳署前が激しく混乱したことを挙げながら、「なぜ今回、TBSの報道関係者だけが逮捕されるのか」という質問も、報道側から出た。

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