トラックのフロントガラスに搭載した「ドライブレコーダー」を防犯活動に役立てようという取り組みが、県トラック協会行田支部でスタートした。事件や事故を目撃した運転手が警察に通報し、レコーダーの映像を提供する。行田市周辺は、支部加盟の半数近いトラックがレコーダーを搭載する“先進地”。県警によると、タクシー会社が地元警察などと協力してドライブレコーダーを導入するケースはあるが、トラック業界では県内初の試みという。
支部に加盟するトラック計730台のうち、現在、約300台がレコーダーを搭載している。搭載率は協会22支部中トップ。協会加盟の搭載車両の4割近くを支部のトラックが占める計算になる。
青年部が旗振り役となって5年ほど前から搭載するトラックが増え、支部全体で防犯意識が高まったという。特に今年は、搭載車両が一気に239台増えたこともあり、斎藤敏夫支部長(71)が11月、「レコーダーを防犯に役立てられないか」と行田署に協力を持ちかけた。
搭載されているレコーダーは1万円弱~5万円と様々だが、主なタイプは、フロントガラスに取り付けられた直径約5センチの小型カメラが前方の約130度を常に監視する。車体が強い衝撃を受けると、衝撃前の約10秒と衝撃後の約5秒の映像を自動的に録画するほか、手動で一定時間の録画が可能。車両が走り出してから20時間連続で録画できるタイプもあるという。
7日には、支部と行田署、行田市の3者間で防犯協定が締結され、通報された内容を市に連絡し、防災無線などを通じて広報する態勢も整った。
運転手たちは、目撃した事件や事故について通報、映像を提供するほか、子どもや高齢者ら保護が必要な人がいた場合にも積極的に協力するという。
「トラックを見たら安心してもらえるよう、安全運転にも心掛けたい」と斎藤支部長。永井光一署長は「走る防犯カメラとして非常に心強い」と話している。
県トラック協会の吉原昌一常務理事(62)は「この取り組みがすべての支部に広まっていけば、防犯対策に大きく貢献できる」と期待を寄せている。
(2009年12月9日 読売新聞)