山里に柿すだれ

◆東出雲・畑集落 干し柿づくり/「あめ色の宝石」甘~く熟成中◆ 

 紅葉で赤く染まった山里の小屋に、オレンジの柿がすだれのように数珠つなぎ――。東出雲町の標高150メートルの畑集落で、干し柿づくりが最盛期をむかえている。「あめ色の宝石」と呼ばれ、濃厚な甘みで知られる冬の名物は、ここ数年、関西や東京でもファンを増やしているという。(藤井満)

 畑の干し柿は、戦国時代に尼子氏を攻めた毛利氏が非常食として広島からもちこんだとされる。集落の24戸のうち19戸が「畑ほし柿生産組合」に加わり、1シーズンに計約40万個つくっている。

 こぶし大の西条柿を収穫し、一つずつ手作業で皮をむき、10個ずつひもでつなげる。朝から夕方まで作業しても3人で千個が精いっぱいだ。ガラス窓つきの3階建ての柿小屋に20日間干したあと、練炭でセ氏18度に保った小部屋で10日間「汗」をかかせると、真っ白な粉が表面に吹きだす。あめ色の地肌に果糖の薄化粧。「うっすらおしろいをほどこした干し柿は色っぽいですよ。7割の水分を飛ばしてうまみが凝縮しているから、濃厚で上品な甘みです」と同組合の三島博理事(61)は語る。

 従来は中国地方の市場に卸してきたが、5年ほど前から関西や関東からの問い合わせが増え、関西の高級食材スーパーや大手量販店との取引もはじまった。

 ただ、干し柿1個100円前後という市場価格では、1戸あたりの売り上げは約200万円にすぎず、後継者確保は難しい。ファンを広げ、次世代に柿づくりを継承するため、今年から「柿オーナー制度」をはじめた。柿の木1本あたり1万5千円(収穫などの作業を組合にお任せにする場合は2万円)で、最低200個の収穫を保証した。今年は20組が摘果や収穫を楽しみ、渋抜きの方法などを学んだという。来春も募集する予定だ。

 問い合わせは同組合の三島さん(0852・52・3329)。生産組合のホームページはhttp://www.hatahoshigaki.jp

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