2008年8月にうるま市で米海軍所属の女性が起こした交通事故で死亡した男性=当時(38)=の家族が、日米地位協定の民事特別法に基づき、国と沖縄防衛局を相手に損害賠償など約7100万円を求める訴訟を那覇地裁に起こしたことが9日までに分かった。
米海軍の女性は事故後、自動車運転過失致死容疑で書類送検されたが、ことし3月に不起訴処分となっていたことも判明。家族の代理人弁護士によると、那覇地検は「公務中の事故のため日米地位協定上、第一裁判権が米側にある」と不起訴の理由を説明したという。被害男性の妻(42)は「日本で裁判できるよう地位協定を変えてほしい」と訴えた。
沖縄防衛局は「関係機関とも調整の上、適切な賠償が行えるよう対応していきたい」とコメントした。
訴状によると、事故は08年8月11日午前6時45分ごろ、うるま市田場の道路で発生。米海軍の女性は乗用車で進行中、対向車線に進入し、向かってきた被害男性のバイクに衝突した。男性はフロントガラスに打ち付けられ、病院に搬送されたが、約2時間後に死亡した。米海軍の女性は勤務先のホワイトビーチに向かう途中だったという。
那覇地検はことし3月31日に不起訴処分とし、家族側は10月8日に提訴した。
日米地位協定に詳しい新垣勉弁護士は、日米地位協定上、公務中だと起訴できず、日本の刑法で処罰できない現状を説明した上で「公務中であろうと国内の事件・事故は(日本の)処罰権を行使できるようにすべきだ」と改定の必要性を強調した。