殿様の遺品、調査報告パンフ作製

境内の島原藩主松平忠雄(1673~1736年)墓所から豪華な副葬品が見つかった幸田町深溝の本光寺が、写真や図で発掘成果を紹介する一般向けの調査報告パンフレットを1万部作製した。参拝者向けに1部200円で提供し、代金を出土品修繕費用に充てる。

 パンフレットはA2判。16世紀末のドイツ製と判明した青色のガラス杯や銀製の酒器、小判、刀剣、陶器などきらびやかな“殿様の遺品”と、発掘作業や現在の墓所の様子を計50点以上のカラー写真で紹介する。

 本光寺を菩提(ぼだい)寺とする忠雄の先祖が徳川家に仕え、天下統一の戦いに奮戦した経緯や、徳川家康との血縁関係を示す系図も収めた。

 本光寺の鶴田悟裕副住職は「多くの方が出土品に興味津々で参拝してくださる。地元に縁の深い松平家のことも合わせ、より深く知ってもらいたい」と話す。文化財調査に詳しい坂詰秀一・立正大名誉教授は「ここまで迅速な情報提供はまれで、松平家と寺の熱意を感じる。地元で文化財保護の機運盛り上げにつながれば」と期待している。

 松平忠雄の墓所がある東御廟所(ごびょうしょ)は、昨年8月末の豪雨で一部が破損。修理の際、同寺と檀家(だんか)、地元学芸員有志らの「本光寺深溝松平家東御廟所調査会」が発掘調査を進めた。

 (中野祐紀)

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