立ちすくむ住民

「ドーンという音がした」「黒い生き物が家をのみ込んでいくようだった」。前線が四国地方を通過した23日、県内では南から温かく湿った空気が流れ込み、同日明け方から早朝にかけて、突風や雷を伴った大雨に見舞われた。綾川町で起きた突風では、住宅の屋根がはがれるなどし、住民らは一瞬の出来事に驚き、立ちすくんだ。現地調査した高松地方気象台は同日夜、「竜巻と推定した」との結果を発表した。

 同気象台によると、県内での突風被害は、2008年9月に多度津町と丸亀市で、2人が負傷した時以来という。

 綾川町陶では民家の納屋が倒壊するなど、8戸の民家などの屋根が吹き飛ばされたり、瓦が飛んだりし、農作物も倒れるなどした。

 南西から北東に向けて、黒い雲のようなかたまりが、ものすごい速さで近づいてきたといい、同気象台によると、被害は幅150メートル、長さ500メートルにわたっていた。同気象台はこの日午前5時51分に県内全域に竜巻注意情報を発令していた。

 家の窓ガラスが割れ、納屋が倒壊した山口妙子さん(76)は「黒いかたまりが、すごいスピードでこっちに向かってくるのが窓から見えた。体当たりされたようにドーンという音がした」と声を震わせた。近くの岡マサ子さん(65)も「黒い生き物が家をのみ込んでいくようで不気味だった」と振り返った。

 同気象台は調査班を現地に派遣。この日夜、調査結果をまとめ、突風を竜巻と推定。秒速33~49メートル程度とみられるという。

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 また、高松市や綾川町など県中西部の4市2町で、計1万136戸で停電した。四国電力によると、停電は同日午前6時半頃に起き、高松市香川町の一部世帯では復旧まで約6時間かかったという。善通寺市原田町の民家では、午前7時頃、落雷が原因とみられる火災が発生。天井裏の約3平方メートルを焼いた。

(2010年9月24日 読売新聞)

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