【名古屋】名古屋大学工学研究科の福田敏男教授、中島正博助教らは、体外受精や人工授精などに使う新タイプの注射器具を完成した。温度により体積変化する熱硬化性樹脂の特徴を利用して吸引、吐出する。熱で作動する仕組みのため、ポンプを使う既存器具に比べて小型で安価に製作できるという。研究機関や医療機関などに提案し実用化を目指す。
完成したのは受精卵などの対象物を吸引、吐出する器具。吸引、吐出部のガラス管にヒーターを銅線で巻き付けてあり、ここの温度を変化させることで作動する仕組み。ガラス管内部には対象物と熱硬化性樹脂のほか、その間に両者が混ざらないようにするための油を詰め込むのが特徴。
ヒーターに電気を流してガラス管内部の温度を上げると、熱硬化性樹脂がゲル化し体積が膨張。油を介して先端の対象物を押し出す。