藻を防ぐ繊維開発 県産業技術研究所

県産業技術研究所三河繊維技術センターが、観賞魚の水槽に藻が発生するのを防ぐ繊維を開発した。環境に優しい原料を使っており、効果が長持ちする特徴がある。同センターの担当者は「養殖や水耕栽培など他分野での需要も見込める」と話しており、早ければ2011年春にも商品化する。

 同センターと繊維関連会社「ティビーアール」(豊川市)、化学品製造会社「出光テクノファイン」(東京)が08年度から共同で取り組んできた。

 観賞魚の水槽のガラス面には藻が発生することが多く、藻を殺す薬剤や、藻類の成長成分を吸着するシートなどが市販されている。だが、薬剤は水槽内の魚や水草への悪影響が心配され、吸着シートは有効期間が1カ月と短いという問題点があった。

 今回、開発したのは、藻の成長を抑制する抗菌剤をポリエチレンに練り込んだ直径50ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)の繊維で、これをモール状に編むことで水との接触面積を増やし、藻を防ぐ能力を高めている。

 抗菌剤が水に溶け出さないため、水槽内の生物に影響を与えず、効果も半永久的に持続する。同センターの試験では、藻を防ぐ措置をしない場合と比べ、藻の発生率が6分の1に抑えられたという。

 抗菌剤には372種類の菌、カビ、藻の発生を抑制する効果があり、同センターは川魚の養殖や池の水質浄化などでも応用できると見込んでいる。

 蒲郡商工会議所で5日に開く繊維技術講習会で、開発成果を発表する。(問)同センター=電0533(59)7146

 (大村歩)

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