反対住民ら、市長に請願/呉

呉市川尻町小仁方(こ・に・がた)地区で、民間業者が建設を計画する医療系廃棄物の「リサイクル工場」が波紋をよんでいる。地域住民らは、「小仁方の環境を守る会」(吉野多聞会長)を結成。1月28日には「病院などから出る感染性産業廃棄物の処理や保管・搬入で、快適な住環境が壊される」と6400人余りの反対署名を添え、市長あてに処理場の業務を許可しないよう請願した。

 建設を計画する東広島市の廃棄物処理業者によると、海岸沿いの自社用地に鉄骨平屋建て工場(面積約520平方メートル)を建て、廃棄物を自動的に選別、高温高圧処理する設備を導入する。扱うのは主に医療系廃棄物で、処理後に再利用できる金属やガラスを回収。プラスチック類は燃料資源に再生する。

 処理能力は1工程5立方メートル(約3時間で処理)で、1日最大約40立方メートル。「最先端のシステムで、同様の設備は北海道・白老町など全国5カ所に導入されている」という。

 業者側は昨年12月に2回、地元住民に説明した。しかし自治会側は「突然の話で、計画の詳しい資料もない」として処理方法や安全面の質問文を業者側に送り、回答を求めた。「守る会」の吉野会長(71)は「住民は感染性廃棄物に不安を抱いている。業者は質問を真摯(しん・し)に受けとめて回答してほしい」と話す。

 感染性廃棄物(感染性病原体が含まれ、付着している廃棄物など)は環境省が処理マニュアルに基づき、指導している。市環境政策課は「マニュアルに照らして問題がなければ、処理場の操業を許可せざるをえない」と話している。(中川正美)

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