殺人現場付近の秘湯、女性客追いかける不審者も

大分県別府市明礬(みょうばん)の山道沿いで若い女性の遺体が見つかった殺人事件で、同県警は6日、DNA鑑定の結果、遺体は神戸市垂水(たるみ)区、看護師横手宏美さん(28)と断定したと発表した。

 横手さんの目的地は現場近くの秘湯「鍋山の湯」とみられる。周辺では温泉客を狙った窃盗事件が相次ぐほか、女性客を追いかけたり、カメラを構えたりする不審者が度々、目撃され、安全性への懸念が広がっていた。

 遺体の発見現場から北西約200メートルには「鍋山の湯」、さらに南西約800メートルに「へびん湯」、東約300メートルには「鶴の湯」という露天風呂がある。いずれも管理施設がない混浴で、「別府三大秘湯」と呼ばれる。

 地元の温泉愛好家らによると、秘湯からは別府市街の夜景が一望できる。夜は照明施設もなく、真っ暗なため、入浴姿を見られないように日没後に訪れる女性が多いという。

 常連の市内の男性会社員(51)は「秘湯周辺の山道には不審な車が止まり、若い女性客の車が通ると後を追いかけていた。盗撮目的なのか、草陰で望遠レンズを構える男もよく見かけている」と話す。

 県警別府署によると、この三つの秘湯では2008年、窃盗の被害届が11件出された。いずれも車上荒らしで、窓ガラスを割られ、現金が盗まれるなどしていた。09年以降、被害届は出されていないが、別府市観光協会はホームページで、「(窃盗などに)十分に気をつけて下さい。ご自身の責任と判断で入湯して下さい」と注意を促していた。

 大分市の女性会社員(24)は「4、5年前に入浴したが、最近は犯罪が多発していると聞き、近寄らないようにしていた」と話した。

(2010年9月7日 読売新聞)

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