「美術館新設を」有識者委員会

老朽化が進む県立芸術会館(大分市牧緑町)の存廃や、新たな美術館建設の是非について知事の諮問を受けて検討する有識者委員会の初会合が27日、同会館で開かれた。

委員からは芸術会館に代わる美術館の新設を求める意見が相次ぎ、広瀬勝貞知事も前向きな姿勢を示した。一方で一部の委員からは多額の公費支出を伴うハコモノ建設を懸念する声があがった。

 計11人の委員はまず、芸術会館の内部を視察した。「空調やガラスケースの機能が不十分で時代遅れになっている」「雨水が漏れている」など、施設の不備を訴える職員の説明に耳を傾けた。その後の会議で、委員の互選により、東京芸術大の澄川喜一名誉教授を委員長に、県立芸術文化短大の中山欽吾学長を副委員長に、それぞれ選出した。

 「芸術会館は一つの役割を終えたと思う。新しい美術館を開設する方がいい」(世田谷美術館・酒井忠康館長)「大分市の中心市街地活性化を考えると、新たにできる(JR大分駅の)駅ビルを何フロアか買い取ってもいいのではないか」(佐伯建設・川崎裕一社長)など、委員からは「新設」案が多数出された。

 こうした意見を受ける形で、広瀬知事は「県の財政が厳しいのはもちろんだが、『こういうものをつくってみたらいい』というコンセプトが出てくれば、少々無理してでもやろうと思っている」と述べた。

 その一方、公募で選ばれたイラストレーターの佐藤寛子委員は「最低限の投資で最大限の効果が得られるようにすべきだ。著名な建築家に頼んで立派な意匠の大きなハコモノをつくるよりは、美術教育などソフト面に税金を投入して頂きたい」と注文した。

 委員会は今後、10月までに美術館構想の素案をまとめ、県民の意見を反映させたうえで、11月に広瀬知事に結論を答申することを目指す。美術館を新設せず、芸術会館を継続して使用する場合には、答申までの日程はさらに短縮される見通しだという。

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